こだわりとは何か。
それは無意味の重なりが作り出す意味であり、世の中に対するささやかな態度表明であるとぼくは思います。
他人からみたら意味のないものだけど、自分にとっては大切なもの。そして誰に気付かれることがなくても、自分の中で譲れない信念。あくまで自分の中で完結する行為でありながら、心のどこかで誰かに届いてほしい願うこだわりという気持ちは、まるで大海に放ったボトルメールのようなもの。
ぼくがこう思うようになったきっかけは、1枚のTシャツ。
70’sのヴィンテージTシャツ
5年ほど前に買った古着のTシャツは70’sのヴィンテージ物。50年近くも前に作られたTシャツですが、プリント部分はキャラクターの輪郭などの実線・肌の色・ジャケットの色とそれぞれが異なる3種類の染色技術を用いて描かれています。
染色方法が違うこれら、もちろん同時に処理はできません。実線を入れて乾燥させ、肌の色を入れて乾燥、最後にジャケット部分を染色するという非常に手間と時間のかかる製法で作られているのが伺えます。
染色技術なんてほとんどの人が気にしないし、おそらく多くの人はそんな微妙な変化に気付かないはず。それでもただの1枚のTシャツに対して、今から50年前にここまで手間暇をかけて作る。この古着のTシャツは、ぼくのこだわりに対する姿勢の原体験になっています。
実際このTシャツを着ていても、染色に関してほとんどの人は気付きません。ぼくも記事で紹介する際はあえて「ゆるいプリントTシャツ」くらいの表現にすることがほとんど。
でもこのTシャツの作り手がアメリカから放ったこだわりは、50年かけてボトルメールのように海を越え、ぼくの元に届いています。
70’sのヴィンテージTシャツ / 5年以上愛用しているアイテム#6
#1 BEAUTY&YOUTHのライダースジャケット
#2 White Mountaineeringのバックパック
#3 foot the coacherの長財布
#4 Gaspard Yurkievichのバックパック
#5 JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS MANのジャケット