「世界品質の、日本製との出逢いを」をコンセプトにするレザー製品専門のセレクトショップMens Leather Store(以下、MLS)。
前回の記事ではそんなMLSが始めた、“買ってから選ぶ”新しい購買方法であるSelect Planを紹介しました。
Select Planの概要はざっくり上のフローチャート図の通り。Webで購入して店頭でサイズや色を決めることができるというシステムです。
そんなSelect Planをより具体的に体験すべく、今回ぼくがSelect Planを使ったと仮定して加盟店舗まで足を運んで体験してきました!
実際に加盟店へ遊びに行ってきて、ぼく自身ただフローを説明するだけでは分からなかったSelect Planの魅力にも気づくことができましたよ。
まずはMLSでSelect Planを購入
Select Planを体験するには、まず最初にMLSのサイトに行って対象商品を購入する必要があります。
購入時はサイズ・色を選ぶプルダウンメニューで、Select Planを選んで購入手続きを完了させればOK。
商品の引換券が自宅に届く
Select Planで商品を購入すると、数日後にMLSから購入した商品の引換券が入った封筒が自宅に届きます。
この引換券を持ってSelect Plan対象店に行けば、その場で色・サイズを吟味した上で商品を購入できます。
引換券を持って購入した商品の販売店舗へ
ここまでは前回の記事でも紹介した通り。ここからは実際にSelect Planを導入しているお店に訪問し、Select Planを利用した際のユーザー体験を取材してきました!
日本橋のBluestone直営店へ
今回訪問したのは日本橋にあるBluestoneというレザーブランドの直営店舗。
Bluestoneは徳島産の天然染料「蒅(スクモ)」を使って藍染めした「スクモレザー」というこだわりの皮革素材を使った靴作りを行うブランドです。
訪問先としてBluestoneを選んだ理由は、1つはMLSのSelect Planをいち早く導入したブランドであること。
そして2つ目は“100年スニーカー”を謳うBluestoneのスニーカーは1足10万円を超える高価格商品だったから。
10万円を超えるスニーカーを気軽に買える人は少ないからこそ、店頭でじっくり吟味できるSelect Planという買い方が活きる商品なのではと感じたからです。
天然木と藍染めが織りなす洗練された店内
日本橋のビルB1Fにある店内に足を踏み入れると、そこは藍色の世界。壁には美しく染められた大判のスクモレザーが掛けられ、スクモレザーを使った商品がいたるところにディスプレイされています。
素敵な店内のほとんどは工事業者をいれずデザイナーが自ら作り上げたのだそう…!
商品だけでなく店内には「こんなものまで?」というものまで藍染めされています。例えば上のギターや、その奥に見える大きなソファーも全てスクモで藍染めした1点物。
藍色に染められた美しい革製品
スタイリッシュな店内に釘付けになった次に目を奪われたのは、陳列されたレザーアイテムの数々。
深みと透明感が合わさったような、スクモ独特の青はずっと見つめていると吸い込まれていくよう。
スクモとは藍の葉を乾燥・熟成・発酵させてつくった黒褐色の塊。種を蒔いてからスクモができるまでにはだいたい300日ほどかかるとか。
「途中の熟成や発酵を化学的な処理をして早める場合もありますが、Bluestoneが使うスクモは600年前から続く伝統製法で作られたスクモだけ。だからどうしても価格は高騰してしまうんです」とデザイナー。
他にも1日に5m程度しか織れない旧式の織り機で織ったデニムを使うなど、日本の伝統製法にとことんこだわってものづくりをしているBluestone。
また倉敷産の9号帆布(キャンバス)をパラフィン加工(ロウびき)して作ったこのスニーカーは、通常1回のロウびきを2回繰り返すことで強度と耐水性を高めているとか。通称“ドラゴン加工”と言うそうで、名前からして強い…!
上の写真は実際にデザイナーさんが長年履き込んだスニーカー。つま先のレザーは味が出始めているものの、キャンバス部分はほとんど新品のような状態。
とにかく商品全てにふんだんにこだわりを詰め込んだBluestone。そしてデザイナーさんもその1つ1つについて丁寧に説明してくれます。
Webの写真と文章だけだと「スニーカーに10万円は高いな」と感じてしまいますが、生産背景や見えない部分のこだわりを聞かせてもらうことで、価格への納得感が増すのもSelect Planでお店に足を運ぶメリットの1つだと感じました。
長く履くからこそ、入念な試着を
Select Planで商品を購入した場合は店舗でサイズ合わせなどを行います。ぼくもせっかくなのでスニーカーを試着させてもらいました。
「うちの靴は少しサイズが大きめなんです」とのことで、いつもより1つ小さいサイズを試着するとジャストサイズ。
Bluestoneのスニーカーのコンセプトは“100年スニーカー”。ずっと長く履ける耐久性だからこそ、長く快適に履けるようにフィッティングも重要。
じっくり自分の足に合わせながらサイジングを確認できるのもSelect Planの利点です。
Bluestoneデザイナーにお話を伺う
最後はBluestoneデザイナーの赤理(あかり)さんに、Select Planを導入した経緯や理由などを聞いてみました。
――まだ導入店舗が少ない中、Select Planを先駆けて導入した理由はなぜですか?
赤理:靴はサイズの問題があってなかなかネットでは販売に結びつきにくいところがあります。Bluestoneの靴は決してやすい金額ではないということもあり、「実際に物を見たい、履きたい」というお客様の声が多かったんです。
ネットで物を売ることを考えた時に、やはりブランドとしてもきちんと体験を提供したいと考えていたこともあり、Select Planを導入しようと思いました。
お客様が直接お店に足を運んでもらえるきっかけの1つになるのも嬉しいですね。
――Select Planで来店されたお客様に、どういった価値を届けたいですか?
赤理:ただただ「手抜きはしていません」ということをしっかりと伝えたいと思っています。
値段が高いからといってBluestoneだけが潤っているわけじゃないことを感じて欲しいですし、何より職人さんの仕事ぶりをきちんと私が伝えていきたいなという思いがあります。
またせっかく対面でお客様とお話ができる機会なので、お客様が買う前でも買ってからでも、気軽に相談できる関係を作りたいと思っています。
買うだけで終わらない体験を
というわけでSelect Plan利用したと仮定して、実際に対象店舗のBluestoneに取材にいってきた様子をお届けしました。
お店に行ってみて感じたのは、お店の方の圧倒的な熱量。店内の商品はもちろんのこと、什器やインテリア1つ1つにもしっかりと思いが込められていて、その話を聞いているだけでも楽しい時間でした。
もちろんMLSのWebサイトで見たときも格好良くてこだわりのある靴だなと感じたのですが、やはりお店に伺って直接お話を聞くと想像の何倍もの想いを持ってものづくりをされていることが伝わってきます。
1足のスニーカーの裏側には、誠心誠意それを作るデザイナーがいて、さらにその背景には矜持を持って原料を作る職人や技師がいる。
当たり前のことですが、Webを通じて見ているだけでは決して分からなかった物に込められた重みを感じました。
人は体験を伴った情報は、そうでない場合に比べて格段に忘れにくいと言います。
長く愛し続けることができるこだわりの革製品だからこそ、こうした作り手の熱い思いに触れる体験を通して購入すれば、その愛着もずっと長続きするはず。
家に居ながらにして物が買える時代に、わざわざお店に行くというSelect Planのような買い物の仕方は時間の無駄だと思う人もいるかもしれません。でもこうした回り道こそが、実は贅沢な時間だったりするのだなと取材を通じて感じました。