スマートフォンに付いているカメラを含めれば、今や誰もが一台は持っているカメラ。写真を撮るという行為は昔よりもずっと身近になりました。
そんなデジタルカメラが主流なこの時代にあって、今でもフィルムで写真を撮ることを楽しむ人がいます。
家電量販店では売っていないし、フィルム1本ごとに現像が必要。1枚撮るのにもお金が掛かる。そんな一見不便なフィルムカメラを好んで使う人は、自分なりのこだわりや理由があるはず。
「#私がフィルムカメラを使う理由」は、今の時代にあえてフィルムカメラを使って写真を撮る人に、フィルムカメラの魅力を語ってもらう連載企画。「フィルムカメラに少し興味がある」という人が、一歩踏み出すきっかけとなる連載にできれば。
第5回はLovegrapherとしてカップル・家族写真を撮影しているななさんにお話を聞いてきました。
ななさんはこの企画のハッシュタグ「#私がフィルムカメラを使う理由」で、素敵なフィルム写真を投稿されていました。
素敵なタグを見つけたので久しぶりに投稿してみる。
私がフィルムカメラを使う理由って、一言で言ったら好きだからだなぁ。
単純すぎるんだけどね。
デジタルと違って、1枚1枚だいじに撮れる。
大好きです。 pic.twitter.com/GbzZtfch1y— n a n a (@nanairo__2) April 7, 2019
その優しさに溢れた写真を見て、ぜひお話を伺いたいと思いインタビューを申し込んだところ快諾頂きました。
※このインタビュー記事の写真は全てフィルムカメラで撮影しています。
使っているカメラを教えてください
メインで使っているのはCONTAX Ariaというフィルムカメラです。買ったのが2016年の2月だからもう3年も使ってるんですね、自分でもびっくりです。
あとはつい最近PENTAX 67を買いました!色んな人の写真を見ていて1番好きだなって思った写真がどれもバケ(PENTAX 67、通称バケペンのこと)だったので。
今使っているカメラの気に入っている点はどこですか?
Ariaちゃんは軽くて持ち運びがとっても楽で、フィルムを自動巻してくれるところが助かっています。
私はとても不器用で、Ariaを買う前に別の手動巻きカメラを使ってたんですけど、フィルムを何度もダメにしてしまっていたので。笑
もちろん描写も大好きです。レンズはPlanar 50mm F1.4を使ってるんですけど、優しいふんわりした写り。始めてすぐの頃はMFのピント合わせに苦戦したりと、なかなか自分の求める雰囲気を出せなかったんですが、少しずつカメラと仲良くなって今ではAriaで理想の写真を撮れるようになりました。
バケはすっごく大きくて重いし、私が持っていると見た目とのギャップがすごいと言われるんですけど(笑)、中判ならではの奥行き感や描写がとっても大好きです。
Ariaは普段のお出かけの時とかにいつも持ち出していて、作品撮りやこれを撮りたい!って目的があるときはバケを持ち出します。
あなたがフィルムカメラを使い始めたきっかけは?
カメラを始めたばかりの頃に色んな写真を見ていて、色味や写りが好きだなと思った写真がフィルムカメラで撮られた写真だったんです。
フィルムカメラってこんな素敵な写真が撮れるのか!と思ってフィルムカメラを買ったのがきっかけでした。
それからはフィルムが好きになりすぎて、仕事以外はフィルムカメラしか使わなくなっちゃいました。笑
デジカメを買ってすぐにフィルムにハマったこともあり、写真を始めてから今まで自分の中でメインはフィルムという感覚です。
あなたがフィルムカメラを使う理由はなんですか?
単純だけど、フィルムカメラが好きだからです。
デジタルでもフィルム風な写真は撮れるけど、やっぱりフィルムで写す色味や描写が好き。
デジタルみたいに撮ってすぐに確認できないし枚数にも制限があるから、1枚1枚、本当に大事に撮るようになりました。
Lovegraphの仕事では最高の瞬間を逃すわけにはいかないので、どうしてもシャッター数が多くなってしまいがち。だからこそ1つ1つに心を込めて撮影するフィルムの魅力をより感じるんです。
そうやって大切に撮った写真は、私が撮りたいと思った大事な瞬間だったり、感動して残しておきたいと思ったものが詰まってるわけじゃないですか。
その時の感情や空気感も全部ぎゅっと詰まっている気がして、現像から返ってきたら過去の自分からのプレゼントを開けるみたいでいつもワクワクするし、毎回感動しています。
フィルムカメラとデジタルカメラの違いはなんだと思いますか?
言葉にするのが難しいのですが、フィルムは綺麗すぎないのが良いなと思います。大胆にフレアが入ったり、フィルムならではの質感が好きです。
ただ、だからといってデジタルが嫌いなわけじゃないんです。デジタルは撮ってすぐに確認ができて、レンズも選択肢が豊富だし、レタッチが自由なのも楽しいです。
デジタルとフィルムは優劣があるんじゃなくて、違いがあるだけだと思います。
昔はデジタルをフィルムに寄せるよう頑張っていましたが、今はその違いをちゃんと尊重しようと思うようになりました。だからデジタルではデジタルでしか撮れない写真・表現をしようと思っています。
仕事はデジタルが中心、プライベートはフィルムが中心。それぞれの良さが活きるような使い分けをしたいなと思っています。
好きなフィルムを教えてください
Kodak PORTRAやFUJICOLOR PRO400Hが好きです。
でもプライベートは9割フィルムカメラを使う私にとって、高級なフィルムに毎回手を出していたらすぐにお財布が寂しいことになるので。笑
なので普段は業務用 100フィルムを使っています。自然光の入らない室内の撮影とかは厳しいけど、お値段以上の写りで気に入っています。
よく利用する現像所を教えてください
結構色んなところに出すのですが、Photolabo hibiさんはよく使います。LINEでやり取りできて、対応もとっても丁寧なんです。
現像をお願いするときは毎回自分でオーダーシートを作って、シートびっしりにオーダー希望を書きます。何度もお願いしているので書き出しは「いつもお世話になっております。」です。笑
例えばPRO400Hは青が強く出るけど、人の顔まで青っぽくなってしまうことがあるから青みを控えめに出してもらったり。
だいたいいつも、透明感のある仕上がりを意識してオーダーしています。
これからフィルムを始める人にオススメのカメラはありますか?
ハーフカメラかなぁ。36枚撮りフィルムだったら倍の72枚撮れるし、コンパクトだからそこまで重くなくて写ルンです感覚で使えます。
フィルムカメラを使う以上避けられない、持ち運ぶハードルやフィルム・現像のコスト面などを考えても初心者に優しいカメラかなぁと思います。
そこからフィルムカメラにハマったら、レンズ交換式のマニュアルカメラに変えてみてもいいと思うし、お試しにはちょうどいいんじゃないかなと思います。
フィルムカメラで撮影したお気に入りの写真を見せてください。
親友のこどもが生まれてからはじめて会いに行った時に撮りました。
この子も今では3歳になって、生まれてから今日までずっと撮らせてもらっています。
炭酸がしゅわしゅわしてるのが可愛くて思わずシャッターを切った1枚です。
去年Lovegrapher達とお花見した時の写真です。彼のことを見つめる彼女の視線がとても優しくて、彼のことが大好きで大切なんだなぁと感じた瞬間を切り取れた1枚です。
バケペンのセカンドロール目の写真。私の出したい色や雰囲気で撮れてたのでものすごく嬉しかったし、写真に写っている彼女も喜んでくれて、2倍嬉しかったです!
バケペンのファーストロールです。やや露出高めになってしまったのですが、撮りたいイメージの写真が撮れてすごく感動しました。バケペン買ってよかった!!と思った1枚です。笑
はじめて作品撮りとして撮影した写真です。2人とはとても奇跡的な出会いをしていて、だからこそ2人にお願いして撮影させてもらいました。3人でつくりあげた、とてもとても大切な写真です。
編集後記:写真は撮る人の心を写し出すのかも
今回インタビューで始めてお会いしたななさん。
優しくて柔らかい写真を撮る方だなと事前に彼女のInstagramを見て感じていましたが、実際にお話してみるとななさん自身も撮影される写真のように柔らかい雰囲気でした。
「友人と赤ちゃんを撮った写真を見せたら、すごく喜んでくれて。」というのがLovegrapherを目指したきっかけだそう。
仕事で撮影されるデジタルの写真も、フィルム写真と同じくらい優しくて幸せな瞬間をたくさん撮影されていました。最近は指名で撮影依頼をもらうことも多いのだとか。
きっとななさん本人の優しさが、写真にも溢れているのだなとお話を聞いていて感じました。
Vol.4は下記リンクから。
あなたがフィルムカメラを使う理由も教えてください
この記事を読んで面白いなと思っていただけたら、ぜひあなたがフィルムカメラを使う理由も教えてください。
Twitterで「#私がフィルムカメラを使う理由」というハッシュタグをつけて投稿していただければ嬉しいです。お話を聞いてみたいと思う方には、インタビューのお願いをさせていただくかも。
フィルムカメラにすごくハマってるんだけど、どんどん廃れていくのはユーザーとしても悲しいし困るから、若い人を対象に「#私がフィルムカメラを使う理由」みたいなインタビューシリーズを記事にしたいな〜 pic.twitter.com/k0Oj9y6eVG
— 平岡 雄太 / DRESS CODE. (@yuta_black) December 10, 2018