Maison Margielaの3パックTシャツを購入しました。
矛盾だらけのパックTシャツ
Maison Margiela(メゾンマルジェラ)は1988年設立のフランス・パリ発のファッションブランド。
デザイナーはアントワープ王立芸術学院の出身で、アン・ドゥムルメステール、ドリス・ヴァン・ノッテンなどと並び「アントワープの6人」と呼ばれ、現在のファッションシーンを牽引するブランドです。
今回購入したのはそんなMaison Margielaの3パックTシャツ。
パックTシャツとは複数枚をセットで販売しているプレーンなTシャツのことで、手軽な価格でシンプルなTシャツを購入できることで人気を博しています。
HanesのパックTシャツなどは中でも有名ですね。
そんなパックT。このマルジェラのパックTシャツは無地の微妙な色味違い3枚入りで、お値段なんと3万円。無地Tシャツ1枚で1万円です。
さらにこのパックTは、3枚が真空パックにされています。なので冒頭のように購入後に真空パックにハサミを入れて開封しなければ商品に触れることもできません。
これが派手なプリントや変わったデザインのものであれば、そのデザインに惚れ込んで商品を手に取れなくても買うのは分かります。その服の価値が目に見えるのだから。
でもこれは無地のシンプルなTシャツ。普通はなんの変哲も無いアイテムこそ生地感、着た際のシルエット、縫製の細かさなどといった目で見えないけれど商品に触れて分かる・着て分かるポイントで差別化します。むしろそこに価値を見出せなければただの粗悪な商品です。
このマルジェラのパックTは高い。マルジェラの服にしては安いと言われますが、高い。相対値としてはともかく絶対値として無地T3枚に3万円は高過ぎるといっても過言ではないです。
そんな強気な価格設定をしておきながら、デザイン性では勝負できない無地Tにおいて試着はおろか生地に触ることすらさせないというパッケージングはどう考えても矛盾があります。
よほどのブランド愛好家でない限りこのパックTシャツを買う理由はありません。そのはずなんですが、なぜかこのマルジェラのパックTシャツはブランドファン以外からも好評。
買う必要はない。買う理由も見当たらない。
ずっとそう思っていたんですが買ったことがない人と買った人の発言に差がありすぎて。真空パックで隔てられた向こう側にある何が両者をそこまではっきり分けているのか、自分もそれを体験したいと強く思うようになっていました。
批判するなら買ってからでも良いと思い、思い切って1セット購入。
サイズは42〜48まで展開。もちろん試着できないのでネットにある平置き採寸を参考にしながら44サイズを購入しました。
色味は白・クリーム・ベージュの3色セット。ちなみにこれはTシャツが経年変化して変色していく様を模しているのだとか。マルジェラらしいアプローチです。
経年変化をイメージしたTシャツを新品で真空パックにするというのも逆説的な感じがしますね。
ディテールについて
さぁ、せっかく購入したので思う存分ディテールについて見ていきます。このパックTにおいては、触れられるということが購入者の特権です。
まずはホワイトの生地を手ですくってみました。高級ブランドの無地Tは生地の薄さでもって着心地などを高めていることが多いですが、マルジェラのTシャツはすこーし厚手の生地感。手で持ち上げても裏が透けていないのが分かるでしょうか。白は1枚で着るとやや乳首透けが心配ですが、残り2色のクリームやベージュは透けは気にならなそう。
クリーム色の生地をアップで。割と厚手なのに表面はさらっとしていて触り心地がとてもよいです。生地の目が詰まっていて手触りがとてもしっとりしている感じ。
ウールをたっぷり使った高級メルトン生地って触り心地抜群じゃないですか。あれのコットンバージョンを想像してもらえれば。
開封してすぐは目が詰まっていることもありハリのある生地ですが、着倒してクッタリしてきたときの表情も楽しみです。
ベージュカラーのネック周り。無地のTシャツにおいてネックデザインは唯一のデコラティブポイントと言えます。
幅1cmほどのリブ仕様になっていて、他のパックTシャツと比べてややネックの開きは広め。インにもアウトにも使いやすい絶妙な開き具合です。
バックにはマルジェラおなじみのカレンダータグが付きます。10はメンズコレクションモデルであることを意味しています。
試着してみる
ちゃんとしたコーディネートは後日アップするとして、まずは1枚で軽く試着してみました。
176cm,67kgのぼくで44のSサイズを着てみたイメージですので、参考にしてみてください。
まずはホワイト。着丈・袖丈ともにSサイズにしてはやや長め。真っ白な色味でスラックスとあわせたりモノトーンなコーディネートと相性が良さそう。
続いてはクリーム。着丈が長めで身幅がやや細いのでストンと落ちるというよりは自然とドレープが入る感じ。オフホワイトっぽい色味でデニムや古着とのコーディネートに使えそう。
分かりにくいですが最後はベージュ。ベージュは肌なじみが良いのでレイヤードのインとして重宝しそうな感じです。
カーキ、オリーブ、ブラウンなどのアースカラーで合わせるときのインナーなどに使えます。
なんてことはない、けど
着用画像を見ても分かると思いますが、なんてことはない無地のTシャツです。
もっとも、肌触りの良い100%コットンの生地、絶妙なシルエット、1枚でもレイヤードでも使いやすいネックラインという無地のTシャツに要求される項目を全て高いレベルで満たしていることは間違いありません。
服の評価方法というのは大きく分けて2つあります。
1つは見てすぐ分かる即効性の評価。トレンドを取り入れた格好良いコートをその冬にヘビロテするときなど、主役級の働きをする服に対する評価です。
もう1つは使い続けてこそ感じられる、ベーシックな服に対する評価。気づいたらいつも着てしまっているといった服の評価にはこちらが妥当。
今回のMaison MargielaのパックTシャツは間違いなく後者で評価すべきアイテムです。
だからこそ今の段階では、あえてこのTシャツの特徴や着た感など、事実に対する評価にとどめておきます。
コストパフォーマンスみたいな言葉で片付けてしまうのではなく、このTシャツがぼくのファッションを本当に豊かにしてくれたのか、そういう点をこれから見極めていこうと思います。
見えない価値をもつ服を着る
こちらの記事ではMAISON MARGIELAのパックTシャツを愛用していて感じたことを記事にしています。
着用した時のシルエットや生地の風合い、エイジングの入り方など、購入してから気づいた見えない価値について書きました。