DRESS CODE.をお読みいただきありがとうございます! 当ブログを運営するFukulow(@yuta_black)です。
SONYのフルサイズミラーレス一眼α7を購入して約1年半。その軽さと写りの良さに惚れ込み、以来旅行の時に必ず持って行くのはもちろんのこと、ブログの写真は全てα7で撮影しています。
それまでの一眼レフはほとんどオートモードでシャッターを切るだけの初心者だったぼく。
α7を買ってからは少しずつカメラの仕組みや操作を覚え、今では昔よりも自由に写真を撮影することができるようになりました。α7はぼくにとって最高のパートナーであるだけでなく、ぼくがカメラのことを勉強し始めるきっかけとなった思い入れのある1台でもあります。
そうしてカメラがどんどん楽しくなってきたぼくですが、使っていくうちにある課題に直面します。それがα7の大きさ。
フルサイズセンサーを搭載しながらもミラーレスのコンパクトさを実現したα7は、他のフルサイズ機と比べてはもちろん、APS-Cの一眼レフと比較しても十分軽量コンパクトです。ただフルサイズ用のFEレンズと合わせるとシステム全体としては大きくなりがちで、バッグの容量の問題や単純に「今日は要らないかな」という気持ちで日常的に持ち出すことは少なくなっていました。
1年ちょっとの間そうやってα7を使ってきてふと撮影した写真を振り返った時、気がついたんです。手元に残っている写真が旅行やイベント時のものと、ブログで使った写真ばかりで何気ない日々の写真というのは全くもって残っていませんでした。
ちょうど冬が終わり春の陽気が近づきつつある時期とも重なり、もっと気軽にカメラを持ち出して日常的に写真を撮影したいという気持ちが強くなっていきました。そこで頭をよぎったのがサブ機という選択肢。フルサイズのα7を使っているぼくが1インチやAPC-Sセンサーのカメラで満足できるのだろうかという不安もありましたが、はたして全く写真が残っていないゼロの状態と、質はどうあれ写真として思い出を残していくのとではどちらが良いだろうと、考えると答えはおのずと見えていました。
そうして3ヶ月ほど前に購入したのはSONYのAPS-Cミラーレス「NEX-7」というカメラ。5年前に発売されたモデルですでに国内生産が終了している古いカメラです。新品販売はほとんどしていなかったこともあり、中古で本体を3万円程度で購入。ちなみにNEXシリーズはこのNEX-7でナンバリングが終了となり、のちにαの4桁シリーズへと継承されています。レンズはツァイスのFEレンズ「Sonnar T* FE 35mm F2.8」を付けっ放しにして、常にバッグの中にコイツを忍ばせています。
「サブ機としてNEX-7を購入した」と書くと随分あっさりしていますが、この決断に至るまでには様々な試行錯誤がありました。
α7を売却してAPS-Cセンサーのα6500を中心とするシステムで全体のサイズダウンを図ろうかと本気で考えたり、「RX-100」シリーズなど高級コンデジの選択肢や、はたまたフルサイズコンデジ「RX-1」に心動かされたときも。意外とこうしてあれこれと考えて妄想する時間が楽しく、自ら突拍子も無い選択肢を候補に加えたりして。
色々と検討した上でNEX-7をサブ機にするという選択肢に着地したのですが、今ではこの選択でとてもよかったなと満足しています。ということでこの記事ではサブ機を導入して良かったこと、そしてサブ機として選んだNEX-7の素晴らしさについて書いていければと思います。
あ、ここまでが導入部なのでこの記事はまだまだ続きます。もし時間が無い方はお気に入りに追加してお手すきの際にでもコーヒー片手に読んでください。
サブ機とは日常を切り取るカメラと心得たり
先でも書いた通りぼくがサブ機を購入した理由は、これまでカメラがなくてこぼれ落ちてしまっていた日常の瞬間を写真として残しておくため。
なのでサブ機のNEX-7で大切なことは「どう撮るか」ということではなく、それ以前としてそもそも「撮るか(否か)」という点。普段ならダイヤルをグリグリと弄って適正な設定に合わせてからシャッターを切り、その写りを見た上で良い悪いの評価をします。
でもNEX-7で撮る写真の場合、カメラを取り出してシャッターを切った時点でもう満点。その写真はサブ機がなければ存在すらしなかったはずの瞬間なので、写りは二の次で撮影したという事実こそがこのカメラに対する評価になるのです。だからこそα7を使うときはマニュアルで毎回細かな設定を加えますが、NEX-7の場合はA(絞り優先)モードで気軽に撮ってしまうことが多いです。
決して理想とする写りではなかったとしても、後から見返せばちゃんと思い出としてその当時のことを懐かしむことができるもの。そしてなんて事のない瞬間を切り取った写真ほど実は大事だったりします。
シャッターを切ることがもう正解へ直結しているとなると、撮影のハードルも下がっていくということで話は次の項へ。
サブ機でしか撮影しない風景
設定という技術的ハードルが低くなることの他に、サブ機のカメラは撮影に対する心理的ハードルもグッと下げてくれます。
これまではカメラを持ち出すのはイベント時が中心だったこともあり、どうしてもカメラを出して撮影する=良い被写体を良く撮るという認識がありました。
それがサブ機だと持ち出す目的なんて端からなくて、強いてあるとしたらできる限りたくさんシャッターを切るというだけ。だから普段なら見過ごしてしまうような風景も気軽に撮影する意欲が湧いてくるんです。カメラバッグに入れている状態と、それを取り出して実際に撮影する行為の間にある「まぁいっか」という名の隔たりをギュッと縮めてしまうのです。
「良い天気だからちょっとその辺の写真でも撮ろうかな」くらいの意識の低さでパシパシと使える気軽さがサブ機の魅力。
サブ機だからこそ撮れた風景
気軽にそこそこの写真が撮れるのはもちろんですが、サブ機だからこそ撮れた写真というのが存在するのも事実。
それが何かというと、ふとした瞬間に偶然とても良い被写体と居合わせた時。常にバッグに忍ばせているからこそ思いがけず良い風景に遭遇した際にそれを写真に残すことができるんです。
例えばこのネモフィラの写真はあの有名な「ひたち海浜公園」で撮影したものではありません。どこかも覚えていない、道端で偶然見つけたもの。「ひたち海浜公園」のネモフィラは撮りたいなーと思いつつ結局都合がつかず行けなかったのですが、サブ機があったからこそ運良く綺麗なネモフィラを撮影することができました。
こっちの写真はより分かりやすい例。眼下に流れる川に快晴の空が反射し、まるで空を上から眺めているような1枚。こんな良い風景を見つけたらカメラを向けずにいられませんが、無論これは狙って撮れるものではありません。サブ機を導入して常に持ち歩いてたからこそ撮影することができた瞬間です。
日常に潜むシャッターチャンス
サブ機としてNRX-7を持ち歩いて変わったこととして、日常に潜んでいる普段は気づかないシャッターチャンスに敏感になった気がします。どこかに良い被写体や風景がないかを常に探すようになった、と言い換えても良いかもしれません。
仕事先で訪問したオフィスビルの、エレベーターホールの窓が切り取るお台場の景色はまさにそれを象徴した1枚。これまではただ仕事のために出入りするだけだった場所が、NEX-7を手に入れてからはまるで展望台のような存在となり新しい場所へ行くのが楽しくなるように。
カフェを利用する時もあえて陽の光がたっぷり入る窓際のカウンター席を選べば、ラテがふんわりと美味しそうに。
カメラを携えて日々の時間をじーっと見つめてみて気づいたのは、シャッターチャンスというのは平日のデイタイムにもたくさん転がっていること。そしてまたそれは、ちょっとした工夫で自ら作り出せるものだということにも気付きました。
画質の不満なんて全然なかった。5年前のカメラなのに
サブ機を導入するにあたっては冒頭でも書いた通り画質の不安がありました。フルサイズのα7を1年半ほど使いこんできたあとで、APS-Cかつ5年前のカメラで果たして満足いく写真が撮れるだろうかと。なんとなくサブ機の写真が気に入らずに結局使わなくなってしまうのではないかと。
結果的にこれは完全に杞憂でした。もちろん使い勝手や高感度性能などでα7に及ばない点はあるものの、暗がりで動きのある被写体を撮るシーンなど厳しい撮影環境下を除けば十分満足できる写りです。そもそもぼくみたいな人間にとって、良い写真を撮るための一番のボトルネックは間違いなく機材ではなく撮影技術。そんな当たり前のことを改めて思い知りました。
横浜へフォトウォークへ行った際もα7に加えてNEX-7を持って行きましたが、マジックアワーの美しい空のグラデーションや観覧車の鮮やかな光をしっかりと描写してくれました。手前に映る人影も潰れきることなくギリギリ陰影を残しています。
ただ画質に関してはNEX-7の実力の他に、Sonnar T* FE 35mm F2.8が優秀であるというのも理由のひとつでしょう。これも地味なんですが、素晴らしいレンズなんです。
NEX-7というカメラの素晴らしさについて
サブ機の素晴らしさをたっぷりと語ったところで、ここからはぼくがサブ機として選んだNEX-7というカメラの素晴らしさについてもう少しだけ話をさせてください。
いつでもどこでも持ち運べるサブ機は機種に限らずその存在自体が大きな価値だとここまで述べてきましたが、それを差し引いてもNEX-7は本当に良いカメラなんです。
まずはこの手のひらに収まるコンパクトさ。
α7と違ってペンタ部の出っ張りもなく正面から見ると完全な長方形で、どんなバッグの中にも引っ掛からずにスッと納めることができます。同じくコンパクトさが売りのFEレンズSonnar T* FE 35mm F2.8と合わせればまさに完璧。ボディ重量が291gにレンズ重量が120gなので、合わせても400gちょっとと500mlペットボトルよりもずっと軽い。
バッグに入れたミネラルウォータをサッと取り出してゴクッと一口。そんな感覚でいつものバッグにひょいと放り込み、サッと取り出してパシャっと一枚。こんなに楽々と使えるのはやはりその小ささ・軽さの賜物。
ちなみにぼくはこの機動性を失いたくないので、ケースに入れずレンズキャップもせず(プロテクターは装着)にバッグに入れています。
ゴクッと水を飲むくらい気軽にパシャっとシャッターを切ってこんな写真が撮れるとしたら、素晴らしくないですか?
フラッグシップに劣らない革新的なダイヤル
ぼくがNEX-7の購入を決めたきっかけであり、NEX-7を溺愛しているポイントはこの操作性。
これまで色々なカメラを触ってきて、エントリー機とフラッグシップ機の最大の違いは操作性なんじゃないかと思っています。フラッグシップモデルはダイヤルやボタンがたくさんあるので撮影中でも直感的に素早くあらゆる設定の変更が可能。それに対してエントリー機はダイヤルやボタンが少なく、液晶を見ながら設定を一つ一つ変えなければいけないことが多いです。
α7のレビューでも散々書きましたが、ぼくがα7を気に入っているのは前後2つのダイヤルと背面の1つのホイールで、シャッタースピード/F値/ISOをサクッと変えられるから。この操作性のおかげで大抵のシーンをMモードで素早く設定を変えながら撮影することができていました。
NEX-7は右肩にコントロールダイヤルを2つ搭載。さらに背面にホイールも備えているのでα7と同じくシャッタースピード/F値/ISOを物理ダイヤルで変更可能なのです。ちなみにSONYのNEXシリーズ〜α4桁台に渡り、コントロールダイヤルを肩部に2つ搭載している機種はぼくが調べる限りNEX-7のみ。
現在のフラッグシップモデルであり、ボディだけで10万円を超えるα6500もダイヤルは2つ搭載していますが、うち1つはモードダイヤル。実際に店頭で実機も触ってきましたがMモードでシャッタースピード/F値/ISOの3つの設定を個別のダイヤルに割り当てることはできませんでした。操作性だけでいうならぼくの使用用途では現在に至るまでNEX-7の右に出る機種はありません。
こぼれ落ちるはずの日常を掬い上げる
誰もがスマホを持ち歩き、そのスマホに内蔵されているカメラの機能は日に日に進化しています。そんな中で良いカメラを買って荷物が増えてでもそれを持ち出すというのは、きっと素晴らしい瞬間を良い写真として残しておきたいという人だと思います。
ただそれだけ写真への意欲が高い人でも、いや意欲が高いからこそ、常に万全の状態であり続けるというのは難しいこと。撮影へのハードルも機材の重さもどんどん増していった結果「今日はカメラを持っていかなくてもいいかな」となってしまうことも少なくないのでは。かくいうぼくがそうでした。
- 小型・軽量化による持ち出しハードル
- 詳細な露出合わせによる設定ハードル
- シャッターを切る心理的ハードル
ここまで書いてきたようにサブ機を買うことによって、ぼくはこのような写真に対するいろんなハードルがグンと下がりました。いろんなハードルが下がった結果どうなったかというと、写真を撮るのがこれまでよりもずっと楽しくなった。そしてこれまではカメラを持ってきていなかったが故にこぼれ落ちてしまっていた普通の日常の光景を、サブ機のカメラでどんどん掬い上げているような感覚です。
もしあなたが写真が好きならサブ機を買って常に持ち歩いてみると、写真がもっと楽しくなるかもしれません。
なんといってもカメラを取り出してシャッターを切った時点で、それはもう満点なのだから。