新卒で入社したWebメディア企業から自分で立ち上げたdripという今の会社に至るまで、ぼくは一貫してWeb広告の仕事に携わっています。
マーケティングとも言われるその仕事は、一言で簡単に表すとするなら「物が売れるようにする」お手伝いをすること。
あらゆる物やコトが作られる目的というのは、突き詰めれば売れるため。1人でも多くの人に買ってもらうために日夜メーカーは思考錯誤し、広告会社は売り方を工夫しています。
でももし“売れる”ということを全く考えずに作られた物があったら。それはどんなデザイン・機能をしているのでしょうか。今日はそんな靴をご紹介します。
80’s カナディアントレーナー
今回紹介するのは、高円寺の古着屋「militaria」で購入したカナディアントレーナー。80年代の物を新品デッドストックで購入しました。
匿名性のあるストイックな作り
カナディアントレーナーとは読んで字の如く、カナダ軍で訓練用として作られ支給されていた靴。
高い機能が求められる戦地用でもなく、ましてや売るためにも作られていないこの靴はシンプルで素っ気ない作り。
トゥ周りとヒールカップがスエードレザーで補強された以外は、全面メッシュが貼られた仕様。ロゴや装飾の類は一切なし。
そのストイックな見た目に一部では“匿名性の高いデザイン”とも言われています。
ただ、素っ気ないとはいえそこは軍支給の訓練備品。スエードレザーはダブルステッチで縫い合わされ、踵の履き口やシュータンのパイピングにはレザーを使用。細部まで耐久性にきちんと配慮された作りです。
靴に必要な最低限の要素を、過不足なく詰め込んだらこうなったと言わんばかりの機能美です。
ソールは天然ゴムを使ったガムソール。ヴィンテージスニーカーによく見られるソールです。
全体に波打ったデザインは地面への掛かりがよく、粘りのある天然ゴムも合わさってグリップ力は抜群。大部分がメッシュ素材なのでとても軽く、今にも走り出せそうな履き心地です。
淡いグレートーンが今っぽくハマる
カナディアントレーナーというとオールブラックの印象があったんですが、これは薄いグレートーン。シンプルなデザインと淡い色味が履くと今っぽくハマります。
- Jacket:Barbour × WhiteMountaineering
- Cut&Sewn:UNITED ATHLE
- Pants:UNIQLO U
- Shoes:80’s Canadian Trainer
- Socks:ISSEY MIYAKE
- Glasses:MYKITA
全身でコーディネートしてみるとこんな感じ。真っ白ではなく淡いグレーなので、コーディネートの中で浮いてしまうことなく馴染んでくれます。
“NOT FOR SALE”もまた古着の楽しさ
古着というのはもとは軍用に作られた物だったり、昔の人が仕事の時に着用するために作られた、いわゆる“NOT FOR SALE”な物が多いです。
市場に“ウケる”ことを要求されない特殊な環境で作られた服は、デザインのアプローチが今とは全く違うことがしばしば。
トレンドを取り入れた最新のコレクションもぼくは好きですが、それとは全く逆ベクトルのこうした古着もまたファッションの楽しさのひとつ。
古着屋に行った際はそういう視点で服を見てみると、古着の奥深さや面白さを感じられるかもしれません。
REPRODUCTION OF FOUNDからはアレンジ版も
古着に抵抗があるという方は、REPRODUCTION OF FOUND(リプロダクション オブ ファウンド)というブランドがカナディアントレーナーを現代流にアレンジした靴を作っています。
オリジナルのカナディアントレーナーをベースにしつつも、今っぽい洗練された作りになっていてこちらも格好良いです。
フレンチトレーナーも可愛い
今回はカナディアントレーナーを紹介しましたが、同じくフランスの訓練靴であるフレンチトレーナーも人気。
ぼくもTomo&Coというブランドのアレンジ版を以前購入したので、こちらも合わせて読んでみてください。