一口にファッション好きと言っても、具体的にファッションのどういう部分に惹かれるかというのは人によって微妙に分かれます。ブランドの作る世界観に浸るのが好きな人、組み合わせやコーディネートに惹かれる人、またはファッションを含めた大きなジャンルとしてのおしゃれなライフスタイルに関心がある人などなど。
ぼくはその中でも作品としての服そのものが好きなタイプ。もっというと服飾品に使われる素材感にワクワクするんです。洋服のシワの入り方から着用時のシルエットまで、素材を変えるだけで服の雰囲気ってガラッと変わるんですよね。
特に革素材は昔から好きな素材の一つ。本革のライダースジャケットや革靴、ちょっとした革小物まで革物にはつい心惹かれてしまいます。今回はそんな革好きのぼくが普段から愛好しているブランドである『Hender Scheme(エンダースキーマ)』の革靴を購入したので、紹介させてください。
Hender Scheme(エンダースキーマ)とは
まずはブランドを簡単にご紹介。Hender Schemeは東京・浅草に工房を構える日本のレザーブランドです。日本の職人が作る革製品が世の中にたくさんある中で、Hender Schemeが他ブランドと違うのはその製品ラインナップ。
NIKE Air Force1やNew Balanceなどのスニーカーを全て革素材でオマージュして作る「manual industrial products」シリーズなど、既存の革製品の概念を覆す前衛的なアイテムが特徴です。
昨年にはブランド初となる旗艦店を東京・恵比寿にオープンするなど、着々と人気を築き上げています。オープン直後にお店に訪問した際の記事も書いているので、よければ読んでみてください。内装も非常にスタイリッシュでした。
Hender Schemeのウイングチップシューズ
前置きが長くなりましたが、いよいよここから購入した革靴を紹介。
それがこのHender Schemeのウイングチップシューズ。ナチュラルなヌメ革をふんだんに使った、同ブランドのファンなら一目見ただけで分かるデザイン。
俯瞰するように全体を見ると、1足の革靴の中に複数の異なる革が使われていることが分かります。
ちなみに”ウイングチップシューズ”とは、チップと呼ばれるつま先の切り返しが翼のように踵まで伸びている形状のシューズのこと。このチップがまっすぐ横に伸びているものはストレートチップ、チップがないものはプレーントゥと呼ばれます。
はき口についた2枚の羽根は左右で別の革を使用。内側は起毛感あるスウェードで外側はピッグスキンが使われています。
バンプという羽根が縫い付けられた土台に当たる部分には、シボ感の強いピッグスキンを使用。ふんわりと柔らかい手触りで、ピンクベージュの色味が”革感”を感じさせます。
これが履き込むことでくたっとした飴色に変化していくのだから、期待は膨らむばかり。。
トゥはややシャープさを残した丸みのある形状。コバの張り出しが強くカジュアルな印象です。このつま先部分は丈夫な牛のヌメ革を使用。色味も他の部分よりも一段濃いライトなブラウンで靴全体の雰囲気をビシっと引き締めています。
甲のあたりにぐいっと寄って撮影。非常に肉厚な牛ヌメ革が使われているのが革の断面から分かるでしょうか。
サイドから見ると先端からかかとにかけて走るブローギング(穴飾り)が美しい。表面加工がほとんどされていないヌメ革なので、よく見ると革自体に入っていたスリ傷や血管の痕などがそのまま残っています。
かかとの補強部も他とは異なる牛革で構成。着脱補助用のループが付いています。
歩きやすいクレープソール仕様
アッパー部分が全て革作りなのに対し、靴底はレザーソールではなく天然ゴムのクレープソール仕様。カジュアル靴によく見られる、とても歩きやすいソールです。クレープソールのシューズは高校時代に愛用していたClarksのチャッカブーツ以来で、ちょっと懐かしい気持ち。
実際に履いてみた
変わった見た目なのでコーディネートに合わせるのは難しいかな?と思ったのですが、実際に履いてみるとカジュアルなデニムにもすんなりハマってくれました。
ぼくが好きな赤ソックスとの組み合わせも良い感じ。太いパンツを被せちゃうと野暮ったくなってしまいそうなので、デニムでもスラックスでも裾は少し短めにした方が良さそうですね。
別日にスラックス×白ソックスとの組み合わせでも撮影。フォーマルな中に遊びがある、こういう足元の表情も個人的には好みです。
このHender Schemeの革靴、実は渋谷のRAGTAGというブランド古着のお店で購入したもの。
Hender Schemeというと革靴など人気モデルは直営店でもサイズ欠けなどが頻発する中、新品状態のウイングチップがマイサイズで売っていたので完全に衝動買いしてしまいました…!ただこうしてみるとやはり格好良くて後悔は全くありませんね。
経年変化を見守る「Aging Record」シリーズ始めます。
革靴といえばやはり楽しみなのがエイジング。特にこの靴に関してはヌメ革をふんだんに使った1足なので、下ろしたての今はむしろスタート地点といっても良い状態。これからどんどん経年変化によってきれいな飴色になっていく過程が楽しめるはず。
そんな靴の経年変化を見守るべく、このHender Schemeのウイングチップがエイジングしていく経過を定点観測的に記録する「Aging Record」というシリーズ連載を始めようと思います。
1ヶ月程度の間隔でひたすら革の変化を書き連ねる、淡々と静かに続く連載にしていきたいと考えています。途中で施したケアなども合わせて紹介していければと思いますので、どうぞこの靴の成長を一緒に見守ってやってください。
ちなみに今年の冬までは、足に馴染むまで大変苦労すると言われるJ.M.WESTONのGOLFという革靴の履き慣らし記録という連載をやっていました。こちらはもう完結しましたが、とても人気のある記事だったので合わせて読んでいただければ嬉しいです。
- Item:WingTip Shoes / Hender Scheme
- Shop:RAGTAG Shibuya
- Price:¥30,000 w/o Tax