2018年10月30日に発表された、12.9インチと11インチの新しいiPad Pro(第3世代)。1世代前の10.5インチiPad Proも引き続き併売され、現在Appleから発売されているiPad Proシリーズは全部で3モデルとなりました。
これまでは基本的に本体サイズの違いで選ぶことができていたiPad Proシリーズ。しかしここにきて同じProシリーズでもスペックや機能に差が出てきました。
今回は現在販売されている3つのiPad Proモデルをそれぞれ比較し、どういった用途でどのモデルを選ぶべきかを自分なりに考えてみました。iPad選びの参考にしていただけると嬉しいです。
12.9インチ / 11インチ / 10.5インチiPad Pro比較表
まずは3つのモデルの主な違いをまとめた比較表を作ってみました。
12.9インチiPad Pro | 11インチiPad Pro | 10.5インチiPad Pro | |
デザイン | オールスクリーン | オールスクリーン | ベゼルありの従来デザイン |
ロック解除方式 | Face ID | Face ID | Touch ID |
内臓チップ | A12X Bionic | A12X Bionic | A10X Fusion |
Apple Pencil対応 | 第2世代 | 第2世代 | 初代 |
コネクタ | USB-Cコネクタ | USB-Cコネクタ | Lightningコネクタ |
サイズ(mm) | 280.6×214.9×5.9 | 247.6×178.5×5.9 | 250.6×174.1×6.1 |
重量(Wi-Fiモデルの場合) | 631g | 468g | 469g |
ディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ | Liquid Retinaディスプレイ | Retinaディスプレイ |
最安構成の価格 | 111,800円 | 89,800円 | 69,800円 |
見比べると第3世代iPad Pro(12.9インチ / 11インチ)はデザインやスペックが全体的にパワーアップ。
特に11インチと10.5インチを比べるとその違いは顕著。11インチiPad Proは10.5インチとほぼ同じサイズ・重量のまま、洗練されたオールスクリーンデザインや最新鋭のチップを搭載し、コネクタも拡張性の高いUSB-Cを採用しています。
一方で12.9インチと11インチの第3世代同士の違いは、第2世代よりも少なくなってきています。
これまで12.9インチiPad Proというと「とにかく大きい」という印象がありましたが、第3世代になりベゼルが薄くなったことで本体サイズが25%も小型化。ほぼサイズ据え置きの11インチとのサイズ差はこれまでよりも気にならなくなりました。
- 11インチiPad Proを選ぶか、10.5インチiPad Proを選ぶか
- 12.9インチiPad Proを選ぶか、11インチiPad Proを選ぶか
ここからは購入時に迷いやすい上記の2パターンに分けて、それぞれのモデルの比較ポイントを詳しく見ていきます。
11インチiPad Proと10.5インチiPad Proの比較
ほぼ同サイズ・同重量の11インチiPad Proと10.5インチiPad Pro。価格はちょうど2万円の差があります。この2モデルを比較するポイントはデザイン・スペック・アクセサリの3点になりそうです。
11インチiPad Proと10.5インチiPad Proのデザイン比較
11インチiPad Proはホームボタンを廃し、オールスクリーンになった広大なディスプレイが魅力。対する10.5インチiPad Proはホームボタンが搭載されたベゼルのある従来までのデザイン。
もちろん見た目のスタイリッシュさや全面ディスプレイによる没入感は11インチの方が上。ただ10.5インチも左右のベゼルはかなり狭く、デザイン的にも実用的にも大きく見劣りはしない印象。
見た目の格好良さにこだわりがないのであれば、10.5インチを選ぶのもありかなと思います。
11インチiPad Proと10.5インチiPad Proのスペック比較
両モデルの最大の比較ポイントはそのスペック。具体的にはディスプレイ性能・搭載チップ性能が大きく異なってきます。
ディスプレイ性能
11インチiPad ProはLiquid Retinaという、iPhone XRに使われているのと同様の液晶ディスプレイを採用。Appleは「もっとも先進的・正確な色を表示する」と表現しています。
10.5インチiPad Proは通常のRetinaディスプレイ。普通に使用している分にはそれほど差は気にならないかもしれませんが、写真のレタッチやグラフィック作成など正確な色表示が必要な作業では違いが出そうです。
搭載チップ性能
11インチiPad Proは現状のiOS機器のなかでもっとも高性能なA12X Bionicチップを搭載。対する10.5インチiPad ProはA10X Fusionチップが使われています。
それぞれのチップの性能を細かく比較すると、下記の通りです。
A12X Bionic | A10X Fusion | |
CPU性能(A8チップ比) | 3倍高速 | 2.5倍高速 |
グラフィックス(A8チップ比) | 8倍高速 | 4.3倍高速 |
チップの性能をCPUとグラフィックスに分けると、CPU性能はA12X BionicとA10X Fusionでそれほど大きな違いがないことがわかります。
むしろ差が大きいのがグラフィックス性能。8倍と4.3倍なので両モデルの処理速度は約2倍ほどの違いがあります。
動画編集や大量の写真のレタッチなど、グラフィックス系の作業を行う場合はA12X Bionicを積んだ11インチiPad Proを選ぶ方が良さそうです。
11インチiPad Proと10.5インチiPad Proのアクセサリ比較
両モデルの対応アクセサリで比較ポイントになるのは新型Apple Pencilへの対応。
第3世代iPad Proに合わせて発売された第2世代Apple Pencilは、ペンの人差し指付近にタッチセンサーが搭載。アプリを使用中にダブルタップするとツールの切り替えなどをペンから操作でき、スピーディな作業が可能になります。
そして充電・ペアリング方法もPencilのお尻をLightningコネクタに挿す方式から、マグネットでのワイヤレスに変化。
イラスト系の作業を日常的に行い、作業の効率化を測りたいという場合はタッチセンサー付きの第2世代Apple Pencilが使える11インチiPad Proの方が便利そうです。
またアクセサリではないですが11インチiPad ProはUSB-Cコネクタ搭載で拡張性が高いのも特徴。デジカメから直接写真を取り込んだり、4Kディスプレイに出力したりといった使い方も可能です。
クリエイティブ系の作業が多い場合は11インチがオススメ
デザイン・スペック・アクセサリの3つの観点から11インチと10.5インチiPad Proを比較してきました。
結論としては映像や写真、イラストなどクリエイティブ系の用途で使いたい場合はグラフィック性能が高く最新のApple Pencilが使える11インチiPad Proを選ぶのが最適だと感じます。
逆にグラフィックを酷使しない表計算や文章作成、ウェブブラウジングなどの用途の場合は10.5インチiPad Proでも十分使えるのではないかと思います。
1世代前とはいえ10.5インチiPad Proも十分すぎる性能を持った端末。購入後の使い方をイメージして、自分に合ったモデルを選んでください。
12.9インチiPad Proと11インチiPad Proの比較
次は新しい12.9インチiPad Proと11インチiPad Proの比較。「最新のiPad Proが欲しいけど、どっちのサイズにしよう?」と悩む方も多いかと思います。価格差はだいたい3万円弱。
過去に12.9インチiPad Proを使ったことがある筆者の経験から、両モデルの比較ポイントはサイズ・マルチタスクの2点にあるかなと思っています。
12.9インチiPad Proと11インチiPad Proのサイズ比較
最大の比較ポイントはやっぱり両モデルのサイズ感。手に持った時に感じる感覚も大切ですが、サイズ感でじっくりと吟味して欲しいのが普段から使っているバッグに収まるかという点。
ぼくは過去に12.9インチiPad Proを使っていたのですが、少し小さめのバッグになるとiPadが入らなくなり、持ち運びに苦労しました。iPadを持ち出して使うことを想定している場合、バッグに収まるかどうかを確かめてから購入するのをオススメします。
とはいえ新しい12.9インチiPad Proはディスプレイサイズはそのままに、旧モデルよりも25%ほど小型化しました。旧モデルでその大きさから購入を諦めた人も、より小さくなった新しい12.9インチiPad Proなら許容できる大きさかもしれません。
12.9インチiPad Proと11インチiPad Proのマルチタスク比較
細かい点で意外と見逃されがちですが、12.9インチと11インチではSplit VIewで表示される内容に違いがあることがあります。
例えば上の写真で左側に展開した画像管理アプリのように、Webサイトやアプリの中には表示領域の横幅によって表示やUIが変わるものがあります。上の例だと横幅が十分にある時は2カラム表示(PCビュー)なのに対し、横幅が狭くなると1カラム表示(タブレットビュー)になってしまいます。
12.9インチiPad Proの場合はSplit Viewで画面を半分にしてもほとんどの場合PCビューが表示されますが、10.5インチiPad Proではこれがタブレットビューになってしまうことがほとんど。おそらく11インチでもこれは同様じゃないかと思います。
細かな点ですが表示カラムが1つ減るとタップ操作が1回多く発生します。これが意外と作業効率に影響してくるなというのがぼくの感覚。
他にも10.5インチと12.9インチではDockにおけるアプリ数が微妙に違ったりと、小さな部分で違いがあります。
少しでも作業の効率を上げたいなら12.9インチがオススメ
結論として、サイズとスペックのバランスを重視するのであれば11インチiPad Proがオススメです。10.5インチとほぼ同じサイズ感と考えると、いろんな用途で使える1台だと思います。
一方、その大きさからつい選択肢から外してしまいがちな12.9インチiPad Proですが、作業効率を重視するのであれば12.9インチも一度は検討する価値がある端末だと思います。
第3世代はベゼルがなくなってサイズもグッと小さくなったので、これまで以上に使いやすいモデルになっているはずです。
似ているようで意外と違う3モデルのiPad Pro
新型iPad Proと現行の10.5インチiPad Proを比較しながら、モデル選びのポイントを書いてみました。
同じくProの名を冠し、一見すると似ているように見える3モデルですが、中身や使い勝手は意外と違うもの。どれを選んでも安い買い物ではないので、用途にあった自分にぴったりなiPad Proを選んでください。この記事が参考になれば幸いです。
新型iPad Proの特徴をまとめました
11インチと12.9インチの新型iPad Proの情報を詳しくまとめました。こちらも合わせて読んでみてください。