SONYの高級コンデジとして人気を誇るRX100シリーズ。小さいボディに1インチの大型センサーを積んだ、手軽さと画質を両立させたコンデジです。
今回は2014年に発売されたシリーズ3代目となるRX100M3を、友人から2週間ほど借りて試させてもらいました。この記事ではSONY RX100M3を使ってみて感じたことや、作例などを紹介しようと思います。
古い機種ですでにいろんな情報が出ていることもあり、今回はぼくが期待している「サブ機としてのRX100M3の魅力」に絞って書いていければと思います。
RX100シリーズ各モデルの特徴
2012年に発売された初代RX100から最新のRX100M6まで、マイナーチェンジを繰り返しながら進化し続けるRX100シリーズ。そして全モデルが今でも現行ラインナップとして併売されている、変わったシリーズです。
そこで初代RX100からRX100M6まで、各モデルの発売年と特徴をざっくりと下記の表にまとめました。
発売 | レンズ性能 | 特徴 | |
RX100(初代) | 2012年6月15日発売 | 28-100mm / F1.8-4.9 | |
RX100M2 | 2013年7月5日発売 | 28-100mm / F1.8-4.9 | チルト液晶 |
RX100M3 | 2014年5月30日発売 | 24-70mm / F1.8-2.8 | ファインダー内臓 180度チルト液晶 手ぶれ補正 |
RX100M4 | 2015年7月31日発売 | 24-70mm / F1.8-2.8 | 4K動画 |
RX100M5 | 2016年10月21日発売 | 24-70mm / F1.8-2.8 | AFの高速化 |
RX100M6 | 2018年6月22日発売 | 24-200mm / F2.8-4.5 | 望遠性能を強化 |
モデルによって機能差はありますが、積んでいるイメージセンサーは変わらず1インチ。なので各モデルの違いは、画質の差というよりも使い勝手の差の方が大きそう。
今回ぼくが使わせてもらったRX100M3は、ファインダーが内蔵されて手ぶれ補正機能が初めてついたモデル。一般的には「写真がメインならRX100M3で十分」と言われているモデルです。
RX100M3使用レビュー
前置きが長くなってしまいましたが、ここからは実際にRX100M3を使ってみて感じたことをレビュー。
冒頭でも書いた通り、今回は他のカメラと一緒に持ち歩く「サブ機」として購入を検討するために友人から借りて使ってみました。
いつでも持ち歩ける、コンパクトなボディ
まずRX100M3の最大の特徴は、ボディサイズのコンパクトさ。本体の縦×横は写真のようにほぼカードサイズ。これならメインカメラと一緒に、いつでもバッグに忍ばせて持ち歩けます。
持ち上げるとサイズの割にぎっしりと詰まったような重さを感じます。カメラとして性能を維持しながら、ギリギリまでサイズダウンさせたのが伝わってきます。
撮る気分を上げてくれる内蔵ファインダー
スマホでも十分綺麗な写真が撮れる時代にぼくがカメラを持ち歩くのは、スマホでは再現できない気分を大切にしているから。
RX100M3はコンパクトなボディの中にポップアップ式のファインダーを内蔵。ただサイズを小さくするだけでなく、ファインダーを覗いてシャッターを切るという、感覚的な写真の楽しさも残してくれています。
ファインダーの画素数は144万ドットと、後継機(RX100M4以降は236万ドット)や他のカメラと比べると控えめですが、被写体と構図を確認するなら問題なく使えます。
ファインダーをポップアップで自動オン / オフ
RX100M3で気に入っているのはファインダーをポップアップさせると自動で電源がオンになり、閉じると電源がオフになる機能。
特にメインカメラとは別に携行し、サクッと取り出してパッと撮りたい時にこの機能はとても便利でした。
180度チルト液晶が便利
RX100M3は液晶を180度チルトさせることが可能。ローアングルやハイアングルからの撮影が便利なのはもちろんのこと、ちょっと友達と自撮りをしたい時などに役立ちます。
USB充電対応で気軽に持ち運べる
RX100M3はmicro-USBによる充電が可能。モバイルバッテリーからでも充電可能なので、外出先でのバッテリー切れの心配がいらない気楽さが良いです。
メイン機とは違って、細かいことは気にせず常に入れっぱなしにしておきたいサブ機にぴったりな仕様です。
複雑な操作には不向き
RX100M3はコンパクトなボディの代償として、物理ダイヤルが2つと少なめ。マニュアル撮影など複雑な操作は向いていないと思いました。
特にコントロールリングは無段階回転で、回転量に応じてソフトウェアが値を変えていく方式。画面を見ながらの操作になって設定切り替えのテンポが一瞬遅れてしまいます。
もともとボディ自体も小さく込み入った操作は向いてないモデル。どちらかというとシャッターを切るだけで綺麗に撮れる、という手軽な撮影スタイルの方が向いている気がします。
ぼくも上限ISOを設定した上で絞り優先(Aモード)を基本とし、あとはコントロールリングに割り当てた露出補正で露出を微調整するという割り切った設定で使っています。
RX100M3で撮影した作例
ここからはRX100M3で撮影した作例を紹介。全てRAWで撮影してLightroomで補正していますが、こんな写真が撮れるんだという参考にしていただければ。
快晴ではスカッと気持ち良い写り
まずは快晴の日中に撮影した写真から。ISO感度を落として絞り込んで撮影できる日中は、クリアで気持ちの良い写り。
解像度もよく細部の立体感もきちんと表現できていると思います。このコンパクトさでここまでの写真が撮れるなら満足。
雨の日はアンダー目で雰囲気重視に
次は雨がパラつく曇天の日に撮影。露出補正でややアンダー目に撮影し、雨の日のしっとりとした雰囲気が出るように撮影してみました。
光が少ないシーンですが手ぶれ補正があるので、手持ちで歩きながらでも1/60や1/30シャッターを気軽に使えるのはありがたい。
手ぶれ補正を生かした長秒露光
RX100M3の手ぶれ補正は思った以上に強力で、しっかりと構えれば1/2くらいまでは撮影できました。上の写真も手持ちで1/4シャッターでしたが、ピント部はブレずに撮影できました。
暗い室内ではノイズが目立つ
次は光が極端に少ない室内での作例。高感度での撮影ではやはりノイズが目立つ印象。個人的に補正でノイズを除去するのを前提にしてもISOは3200くらいまでかなぁと感じました。
2枚目の写真はISOを3200にしてもシャッタースピードが1/20で被写体ブレしてしまっていますが、こういう何気ないシーンを適当にパッと撮れるのも手軽でコンパクトなRX100M3の魅力の1つ。
常に持ち歩きたい、写真好きのための名脇差(わきざし)
あらゆるシーンで完璧なカメラはない。これは写真を撮っている人なら痛感する事実だと思います。
風景を100点の美しさで撮るカメラ(またはレンズ)は、テーブルフォトでは使いづらい。その逆もまたしかり。
RX100M3は100点を叩き出すのは難しいけれど、色んなシーンで80点を手軽に撮れるカメラだと使ってみて感じました。
そんなオールラウンドな性能が軽くて小さいこのボディに詰まっているのが、RX100M3の魅力。こだわりのメインカメラとは別に常に忍ばせておく脇差(わきざし)的なカメラとして、RX100M3は今でも十分価値があるなと感じました。
個人的にはファインダーの画素数が向上し、4K動画にも対応したRX100M4も気になるところ。どちらを選ぶのかを含め、前向きに購入を検討しようと思います。