心に浮かぶ他愛もないことを書いているだけで、気分が高揚してくる様を描写した『徒然草』冒頭の一節。
和紙と筆、紙とペンという道具の違いはあれど、物を書くという行為にはある種の快感が伴っています。
PC、スマホ、タブレット。身の回りにデジタルデバイスがない瞬間がほとんどないぼくが、それでも手帳と万年筆でメモを取る理由もまた「書く」という行為自体が楽しいから。
デジタルデバイスが気軽に素早くメモを取れたとしてもそれは手段の最適化でしかなく、筆記という行為自体が手段であり目的であるうちは「書く」行為がそう簡単に取って代わられることはないと思います。
ただ、だからと言ってデジタルを完全に利用しないのはもったいない。
デジタルならではの便利さ、アナログならではの楽しさ。異なるフォーマットをうまくつないでくれるのがScanSnapです。
中でもぼくが使っているのがEvernote社と共同開発したScanSnap Evernote Editionですが、これが生産を終了するとのこと。
Evernoteへの保存専用スキャナ「ScanSnap Evernote Edition」は、在庫限りで販売終了とさせていただきます。
お求めはこちらまで > https://t.co/CIumUNuGpd #scansnap pic.twitter.com/eH3zDhBA4r— ScanSnapJP (@ScanSnapJP) August 22, 2016
これまでもレビュー記事は書いてきましたが、ホントに良い製品なので改めてその魅力を滔々(とうとう)と語りたいと思います。
ScanSnap Evernote Editionの仕様
まずはScanSnap Evernote Editionの数字的なスペックをご紹介。
こういう製品はいざ買ってみると意外と大きかったり重かったりすることが多いので、一度イメージしてみてください。
大きさ
ScanSnap Evernote Editionの大きさを設置しているときと、展開時で下記のようにまとめました。
設置時 | 展開時 | |
---|---|---|
横幅 | 29cm | 29cm |
奥行き | 15.5cm | 28.5cm |
高さ | 16.5cm | 22.5cm |
購入して初めて開封したときの感想は「コロンとしてて案外小ぶり」だった気がします。
設置時は高さは結構あるんですが、縦と横が思った以上に小さいのでなんだか可愛らしいサイズ感です。
表面もラバー加工されていてしっとりした触り心地で、淡い色味も相まって全体的に愛着のあるデザイン。
製品としては決して可愛らしさを売りにしている物ではないと思うんですが、可愛い。
重さ
愛くるしい見た目なんですが重さは3.4kgと結構あります。
3.4kgというとMacBook Pro13インチが2台分とちょっとの重さ。両手でグッと持ち上げて運ばないといけないくらいの重量感です。
ScanSnap Evernote Editionの主な機能
ScanSnap Evernote Editionには物理ボタンが1つしかありません。押せばスキャンが開始する、ただそれだけのボタン。
構造がシンプルということは機能もシンプル。できることといえば、あらゆる紙をスキャンしてデータをEvernoteに保存できること。これだけ。
これだけなんですが、この「紙をスキャンしてEvernoteに保存する」という1点をとことん考えて尽くした設計になっています。
あらゆる、と表現しましたがScanSnap Evernote Editionには以下の4つのスキャンモードが用意されています。
- 書類(JPG,PDF)
- 名刺
- レシート
- 写真
スキャンするものに合わせてモードを選べば、それにぴったりなフォーマットで書類をデータ化して保存してくれます。
一口に「紙をスキャンする」といっても、スキャンするものによって保存したい形式や後から見返す時の方法は異なるもの。そんなそれぞれ異なるニーズを持つ紙でも、スキャナにセットしてボタンを押せばいい塩梅に処理してくれるんです。
自動判別モードもあるので書類と名刺とレシートと、全部ごちゃ混ぜにセットしても自動で最適な形でスキャンしてデータ化。
セットしてピッ。あとはScanSnap Evernote Edition任せ。
書類(JPG,PDF)
パワポ資料からメモ帳まで、およそ書類と呼ばれるものはこのスキャンモードでデータ化します。最大A4幅までスキャン可能。
データ形式はJPGかPDFを任意に選択できます。JPGで保存すると上のような感じ。
ぼくは商談の議事録や仕事上のメモは大抵手書きで書いているので、家に帰るとメモ用紙をスキャンして取引先別、プロジェクト別にノートブックを分けてEvernoteに保存しています。
例えばA社との商談メモは「ノートブックA」に、B社との商談メモは「ノートブックB」に保存するといった容量。
アナログだと内容別にノートを分けたり、インデックスを使って分けたりしますが、デジタル管理ならどこにどんなメモを書いても大丈夫。
すべて後からスキャンして、データの状態で整理したりまとめたりすることができます。
さらに取引先ごとにノートブックを分けつつ、2016年上半期の商談メモは「2016上期」というタグを付ければ、後から期間別にひとまとめにしてメモを見ることもできます。
名刺
社会人になると大量に社外の人と名刺交換します。営業ともなると年間100枚どころではすまない、結構な量に。
すべてファイリングして管理する人もいますが、ぼくはScanSnap Evernote Editionにセットしてピッでデータとして保存。紙の名刺はすべて自宅で保存しています。
スキャンモードにあらかじめ保存先のノートブックを割り当てておけば、名刺モードでスキャンしたデータは自動で1つのノートブックにまとめられます。
他の人が名刺ファイルを取り出してペラペラと名刺を探す代わりに、ぼくはEvernoteを立ち上げて「名刺」というノートブック内を名前や会社名で検索します。
レシート
ぼくはあまり利用していませんが、レシートをスキャンしてデータ化するためだけのスキャンモードもあります。
レシートモードでスキャンをすると、自動的に「レシート」というノートブックに保存がされます。もちろん別途手動で保存先のノートブックを割り当ても可能。
レシートは紙が薄いものが多いので、「裏写り防止スキャン」の設定をオンにすればくっきりとスキャンできて裏面に印字があってもキレイにデータ化してくれます。
家計簿をつけている人などはとりあえず毎日レシートをスキャンしておいて、月1回Evernoteから家計簿に転記するという使い方も便利。
写真
昔撮影したアナログ写真も、ScanSnap Evernote Editionを使えばデジタル写真化できます。
写真はもちろんポストカードなどをデータ化したいときにも、ScanSnapが便利。
実際にポストカードをスキャンしてみたデータがこちら。
上部にやや線のようなものが写ってしまっていますが、全体的に色味も鮮やかで上手くスキャンできています。
ただEvernoteは文書管理ソフトとしての側面が強いので、ScanSnap Evernote Editionの強みが活かせるのはやはりドキュメントスキャナ。
写真スキャナーはあくまでサブと考えた上で購入する方がよいかと思います。
他にもこんなものをスキャン
上で挙げた書類以外にも、ぼくはScanSnap Evernote Editionで以下のようなものをスキャンしています。
- 契約書関連
- 雑誌のスクラップ
- 公共料金の通知書
契約書というのは重要な書類の割に必要な機会はとても少ない書類。
そんな契約書関連は「文書モード」にてScanSnapでスキャンして、原本はひとまとめにして自宅に保存しておきます。
あとあと契約内容を確認したいときは、Evernoteで検索すれば簡単に情報を参照できます。
ぼくは去年まで引越しがすごく多かったんですが、引越し関連の契約書は全てノートブックで物件別にまとめておいたので非常に楽でした。
雑誌のスクラップも頻繁に使う用途。
毎月ファッション誌を買っているんですが、さすがに1冊まるまる保存しているとかさばるので気に入った写真だけを切り抜いて保存しています。
さらにスクラップしたノートに「夏」といった季節や「シャツ」などのアイテム別にタグ付けをしておけば、好きな季節・ファッションアイテムの写真だけを一覧することもできます。
公共料金の通知書をスキャンするのはここ1,2年、毎月の日課(月課?)になっています。
意外と毎月の光熱費や水道代って意識することが少ないので、取り合えずスキャンしておいてたまに見返すとおもしろいですよ。