少しまえに、久し振りにスニーカーを買った。
派手な総柄のVANS ERA。中敷の柄でピンとくるかもしれない、デザイナーELEY KISHIMOTO(イーリーキシモト)とのコラボモデル。昨年の夏頃に発売したモデルで発売当初から格好良いなと思って一度記事にもしている。
その後とりたてて意識はしていなかったが、先日何気なくショップで服を見ていた時に置いてあるのを発見。今年はちょうどタッキースタイルなど柄物がトレンドになりそうで、個人的にも気分ということで試着もそこそこサクッと購入。
無事スニーカーを家に連れて帰り、さてこの富士山みたいな柄とヴィヴィッドな色合いをどうやって足元に合わせるか。
さんざん頭で考えるが、もうこの際全部引っ張り出して一つ一つ合わせてやろうと思考から試行へと作戦チェンジ。
するとそれがもうとても楽しく、いつのまにかクローゼットをひっくり返して日曜の午前を終えてしまったのでせめてこの旅の記録をまとめておきたい。
- Pants:UNIQLO
- Socks:UNIQLO
ややストリートを意識したワイドデニムに白ソックスで合わせてみた。
リジッドデニムを選んでいるので、ラフなイメージになりすぎずあくまで上品にストリート要素を取り入れる。
足元にパンチのあるスニーカーがあるだけで、UNIQLO同士のコーディネートでもこんなに楽しめる。スニーカーは履き古した方が格好良い派だが、さすがにこのスタイルばかりはキレイなスニーカーに軍配があがるかもしれない。まだキレイなうちに、このクリアのストリート感を存分に楽しもう。
- Pants:A.P.C.
- Socks:UNIQLO
スニーカーとソックスが同じでもデニムの太さと生地感を変えるだけで、コーディネートの表情は随分変わる。そんなことをヘビロテしているA.P.C.のデニムは教えてくれた。
ワンウォッシュのタイトストレートデニムで合わせれば、ストリート顔は消えキレイめカジュアルな雰囲気に。
「ソックスを見せたいけどロールアップのカジュアル感が苦手」という人は、裾を内側に大きく一回折り込むテクニックを活用されたし。裾の表情はそのままに長さを調整可能。
- Pants:Acne Studios
- Socks:UNIQLO
色落ちしたデニムをワンロールしてグレーのアーガイルソックスを合わせた。VANSの持ち味を尊重して、ややスケーターを意識したフットスタイルを意識している。
ガチガチのスケーターというよりも、少しインテリ気質のスケーター。平日はリーマンとして働き、休日になると趣味で気ままにボードに乗っているようなイメージだ。
- Pants:WhiteMountaineering
- Socks:UNIQLO
ホワイトマウンテニアリングのピケパンは年中使えて合わせるシューズを選ばない万能パンツ。
硬派なストレートチップからこんな派手なスケーターシューズまで、なんでもござれなパイセンの懐の深さについ頼ってしまう一本。
早速VANSに合わせてみると、同ブランドらしいアウトドアミックスなフットスタイルに仕上がった。コーディネートに話が及んだら「山柄とMountaineeringを掛けている」と添えてあげるのもよい。ぼくが女性だったらそんな男を彼氏にはしたくないが、同性としてはぜひ友達になりたい。
- Pants:UNIQLO
- Socks:HENRIK VIBSKOV
ファッションセンスに自信がない人に朗報だ。今季のトレンドは「タッキー」つまり「悪趣味」こそがトレンドなのである。
ただでさえ派手な柄のスニーカーに多色使いで紫色の編みソックスを合わせるなどという暴挙に及んでも、どうにでもなってしまうのがタッキーの力だ。
「その足元、趣味悪くない?」に対しては「そうなんだよ、それこそがタッキーなんだよ」で論破完了。「翼の方のタッキーじゃないよ?」の一言まで付け加えられれば上出来、向こうはぐうの音もでまい。
もちろん頭がおかしいのはどちらなのかも気づいているし、この8000円もするソックスを購入したことが一番の暴挙であることは間違いない。
- Pants:STEPHAN SCHNEIDER
- Socks:JieDa
いくら悪趣味がトレンドだからといって、それはコーディネートの話でありどんなことでも認められる免罪符ではないことは理解している。
いくら悪趣味がファッションのトレンドだからといって、男のルーズソックスなぞ認められないということは理解している。
でも見て欲しい。この足元の完成されたポップさを。1回多くロールアップしたウールスラックスとスニーカーの間を埋める絶妙なボリュームを。
こんなにもお似合いな二つを遠ざけてしまうのは野暮というものだ。どうかそっとしておいて欲しい。その代わりとしてトップスはキレイめのテーラードジャケットを合わせておけば、それなりには収まるだろう。
「私が付いているからどうか二人のことはそっとしておいてくれませんか?」「テーラードジャケットがそこまで言うなら、、、」
- Pants:Used
- Socks:Tabio
お気づきだろうか。ぼくが今まで意識的に寒色系のアイテムを中心に合わせていたということを。
寒色と暖色の対立は根深い。これほどまでに多くの色が存在するにもかかわらず、つめたい/あたたかいというイメージを境界に色が左右に分かれてしまう。ぼくはどうもその境界を越えて寒色と暖色をミックスさせるのが苦手。今流行りの越境ボーイにはなれないのかもしれない。
どちらかというとネイビーなど寒色が好きで、それに合う服をということでまた寒色ばかり買ってしまう円環の理に完全に飲まれてしまっている。タッキーだの悪趣味だの言って保険に保険をかけている割に、大枠では秩序の中で遊んでいるにすぎないのがなんとも自分らしい。といって肯定している場合ではない。
そんなことを思いながら、あえてブルーとは反対色の赤や茶色など暖色系アイテムを合わせてみた。
正直違和感のある組み合わせだが、どうだろか。トップスは何を合わせよう。寒色系のネイビーでいくか暖色系のブラウンをもってくるか。寒色暖色のミックスコーデになると急に頭が働かなくなる。
- Pants:H&M
- Socks:UNITED ARROWS
最後はこうだ。黒いスラックスに黒ソックスでさも落ち着きはらった中に、コイツを放り込む。
かつて蒙古タンメン中本で激辛ラーメン「北極」を食べたのだけど、今でも覚えている感覚が2つある。それがラーメンの強烈な辛さと、辛さの中で引き立つ野菜の甘さだった。
回りくどくラーメンの例を挙げたのは対比の力を感じて欲しかったから。あくまでもフォーマルな足元にこのおめでたい総柄スニーカーを取り入れることで、これまで以上に柄が引き立ってイキイキしているように感じる。
どうせだったらトップスもジャケットなどを着てガチガチに固めていきたい。黒のセットアップ、黒T、黒ソックスにこのスニーカーを合わせたら面白いと思う。そうだ先日購入したユニクロルメールのシアサッカー素材を使った黒のセットアップがあるじゃないか。もっと暖かくなってきたらあれとこれを合わせてやろう。
無地の服は良い。どんな服とも合わせやすくて着まわし力がある。ベーシックカラーの服も良い。色合わせで他の色ともケンカすることなくすんなりとハマってくれる。無地とかベーシックカラーのアイテムがどれだけ充実しているかが、スタイリングの基礎力を決めると言っても過言ではない。
それに比べ柄物はタチが悪い。合わせる服を考えないとすぐに他の服とケンカしてしまうから、毎回どう合わせるべきかをちゃんと考えないといけない。手がかかるけど可愛い、否、手がかかるから可愛い。
最近はだいぶ自分のファッションもブレなくなってきたなんて思っていたけど、柄のスニーカーごときにここまで楽しませてもらったのを思うとまだまだファッションの山は高い。そんなことをこのちょうど山柄のVANSから教えてもらった気がする。